
心のケアをする際、マインドフルネスはとても効果的です。ここ数年、マインドフルネスは日本でも拡がりつつあるそうで、企業に勤める友人たちから、「マインドフルネスのセミナー受けたよ!」という話を聞いたりしました。企業がマインドフルネスを取り入れる理由は、社員のストレスを軽減して、より効率的にクリエイティブに働けるようにすることが主な目的のようです。瞑想や呼吸法、現在に意識をフォーカスする習慣が心の健康管理に繋がれば、会社にとっても社員にとってもいいことづくめ。
マインドフルネスとは、今現在に意識を集中することです。
食べるときは食べることに集中する。食べ物の味をしっかりと感じながら食する。歩くときには歩いていること自体に意識を集中する。先のことを考えるのをやめる。
マルチタスクが推奨されている忙しい現代社会では、何かをしながら同時に別のことをする、ということが当たり前の日常だと思うのですが、一つのことに集中して、意識を今、目の前に持ってくることで、さまざまなストレスから解放されるそうです。
たとえば、わたしたちの「不安」の種は大抵「過去のデータ」に基づいています。過去の経験に思いを巡らせて、まだ起きてない「未来」のことを考えて、心配したりする。
やってもやっても終わらない次から次へとやってくる日常や仕事でのタスク。それなりに忙しいのに深い充実感を感じることができない。そう感じている人も多いのでは。1日のわずかな時間でもマインドフルネスを実行することで、ストレスが大幅に軽減するそうです。
マインドフルネスは仏教の教えに基づいています。なかでも、メッタ瞑想といわれる「慈悲の気持ち」に意識をフォーカスする瞑想では、周りに対する慈悲の気持ちだけではなく、自分自身に「愛情あるいたわりの気持ち」を持つことを育てます。
数ヶ月間に1週間のマインドフルネスのトレーニングに参加したのですが、トレーニングの主催がアメリカのデューク大学医学部(統合医療施設)が主催しているものだったので、医大なだけに医療に携わる方々が多く参加していました。外科医や精神科医、獣医や医療コンサルタントなどなど。他にも、ワシントンDCの政治コンサルタントや大学教授など、とにかくお堅い職業(スミマセン・・)の方が多く、初日は雰囲気もガチガチ。ですが、2日目から徐々に空気が変わっていき、皆さんの心が開いて変化していくのを肌で感じました。最終日には終了を祝うちょっとスピリチュアルな儀式があったのですが、感極まって泣き崩れる参加者続出で驚きました。中でも、ベテラン外科医と精神科医の男性らが、「人生で初めて、自分自身に深いいたわりの気持ちも持てた。」と言って涙していたのが印象的でした。
マインドフルネスを研究し医療に取り入れているアメリカの医大は現在のところマサチューセッツ大学、UCLA、デューク大学が主のようです。アメリカと言えどデュークはとてもお堅い大学なので、ホリスティックなアプローチを推奨する統合医療施設を建設するのは時間がかかり簡単ではなかったと、創設者であるマインドフルネスを教えてくださったJeffrey Brantley 博士はおしゃっていました。
Brantley博士はこの施設を創設することにキャリアの後半を捧げていたそうなのですが、ある日、デューク大学のスター教授が彼のトレーニングを受けに来たそうです。世界的に認知され尊敬されている大物教授がなぜ自分のトレーニングを受けに来ているのだろう?そう思い質問したところ、「これまで人生でやりたいことをやってきて世間的にも成功してきた。でも心から幸せを感じたことがないことに気がついたからここに来た。」と言ったそうです。Brantley博士はこの活動を進めてきてよかったと改めて思ったそう。
わたしもこのトレーニング中に自分への労わりの気持ちを深めることができました。決断を急ぐ性格のクセや、自分にダメ出しするクセにも改めて気づくことができました。自分の何かを変える、というよりも、まずは愛を持って「気づく」ということが大切なんだと実感しました。
ちなみに、マインドフルネスの7つの重要要素はこちら。
(マインドフルネス・ストレス軽減法を考案したマサチューセッツ医大のジョン・カバットジン博士の本から引用)
①Non-Judging
ジャッジしないこと。ジャッジすることすらジャッジしないこと。
②Patience
忍耐。全ての物ものにはそれぞれのペースがあることを理解することが知恵。
③Beginner’s Mind
全てのものを初めてのように経験する。新鮮な気持ち。
④Trust
自分を信じる。自分の感情を信じる。自分がそれらを自覚することができる能力を信じる。
⑤Non-Striving
頑張ろうとする衝動に気づくこと。
⑥Acceptance
ありのままを受け入れること。
⑦Letting Go
手放すこと。
マインドフルネスは継続することが大事。マンドフルネスを世界に広めた僧侶、ティックナット・ハン師の言葉を寝る前に読んでみたり、マインドフルネス瞑想やマインドフルネス散歩をしてみたり、自分なりに生活の中で工夫していくことが続けていくコツかなと思います。