
モヤモヤ、鬱々、イライラする気持ちに定期的に襲われて悩んでしまう時。悪いことを考え出すとネガティブ思考が止まらなくなってしまう時。嫌な気持ちにさせる原因を作った関係者に腹が立って頭の中で相手を責めているけれど、心のどこかでは「自分にも原因があるのかも」と考えて自分のダメ出しをしてしまう時。過去の失敗を思い出して自分を責めてしまう時。他人と自分を比較して、フラストレーションを感じる時。
わたしたちは皆、心のなかに「ネガティブの種」を持っています。ネガティブの種は、植物の種と同じように、栄養環境が整っていないと育つことはできません。モヤモヤ、鬱々、イライラはネガティブの種にとって水や日光のようなもの。栄養を与え続けることで、ネガティブの種の成長を促進させてしまいます。種が成長してしまうと、心の中にネガティブ植物が育っていきます。イメージとしてはいばらのような感じでしょうか?あちこちに絡まるようにして育っていくので、次第にはポジティブな思考にも絡まり込んできます。楽しいことや嬉しいことを経験しても、ネガティブ植物の影響で明るい気持ちが長持ちせず、気がつけばまたネガティブに支配されているかもしれません。
マインドフルネスを世界に広めた仏教僧、ティック・ナット・ハン師がこんなことをおっしゃっています。
"Selective Watering" 選んで水やりすること
ものごとを深く見つめる練習をすると、ポジティブの種とネガティブの種を見分けることができるようになります。ポジティブの種には毎日水をやり、ネガティブの種には水をあげないようにすることは訓練できます。これを「選んで水やりすること」といいます。ブッダが説いているこの教えは、たった数日間練習するだけでも変化を感じることができますよ。
Your true home by Thich Nhat Hanhより
わたしたちはネガティブの種と同時にポジティブの種も持っているのです。それに気がついてしっかり意識することで、「選んで水やりをする」ことができます。心が「オート状態(自動操縦)」だと、選んで水やりをすることができません。自分の内面にしっかりと目を向けて観察してあげることで、オート状態を解除し、自分らしいマニュアル操作(手動操作)で、人生の旅を進めていくことができます。
ネイティブアメリカンの民話(チェロキー民話)にも、こんなストーリーがあります。
年老いたネイティブアメリカンの男性が、孫に人生のレッスンを教えていました。「戦いは自分の中にあるのだよ。」年老いた彼は少年に話します。「2匹の狼が繰り広げる、とてつもなく大変な戦いだ。一匹の狼は邪悪なやつだ。怒り、嫉妬、悲しみ、後悔、欲望、傲慢さ、自己憐憫、罪悪感、恨み、劣等感、ごまかし、間違ったプライド、優越感、そしてエゴだ。もう一匹の狼はいいやつだ。喜び、平和、愛、希望、静寂、謙虚さ、親切心、博愛、共感、寛大さ、真実、思いやり、そして信じる気持ちだ。2匹の戦いは続いていく。戦いはだれの中でも起きているんだよ。」少年はしばらく考えて、祖父に質問しました。「どっちの狼が勝つの?」老人は答えました。「お前が餌を与えた方だよ。」
Meet your soul by Elisa Romeoより
ネガティブの種に水をやらないこと。ネガティブの狼に餌をやらないこと。これは、わたしたちが人生の旅を経験しながら育てていくスキルだと思います。種も狼もわたしたちの中から完全に抹消させることはできませんが、しっかりと意識することで、力を与えないようにしていくことができます。次回ネガティブの種や狼の存在を感じたら、意識してポジティブの種といい狼の存在を探して、しっかりと感じてみてください⭐︎