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人生最後の時に・・・


先日、サンフランシスコで開催されたマインドフルネスのカンファレンス、Wisdom 2.0に行ってきました。毎年2月に行われるこのカンファレンスは、グーグルもスポンサーとして参加し、マインドフルネスの著名な先生方に加え、テック業界(グーグル、ツイッターやフェイスブックなどを筆頭に)のエグゼクティブたちもスピーカーとして参加します。(詳しくはマイロハスに記事を書かせていただきました。)

2.5日の間に70人以上のスピーカー達がトークやセミナー、メディテーションなどをする大規模なカンファレンスなのですが、私が個人的に特によかったなと思ったのが、Frank Ostaseskiさんのスピーチです。

Frank Ostaseskiさんは仏教の先生としてZen Hospice Project(禅ホスピスプロジェクト)やMetta Instituteを立ち上げ、死を目前にした人々のメンタル・スピリチュアルなサポートする活動をされています。

カンファレンスでの彼のスピーチは「Don’t wait. (待つのをやめなさい。)」の言葉で始まりました。

Frankさんによると、ホスピスなどで人々が死の直前にもっとも重要だと感じることは、「その人生でいかに愛したか、愛されたか」ということなのだそう。そして究極の部分でいうと、「自分を愛してあげることができたか」ということになるのだそうです。

〇〇をやっておけばよかった、というような後悔などが思い出されるのかなと想像していたのですが、それはどちらかというと病気などで死の宣告を受けた人が最初のステージで考えることのようで、やがて実際に死が目前にやってきたときに人が本当に気になるのは「愛」に関することだだそうです。

愛のテーマは私たちにとってとても複雑です。最も高尚で純粋なエネルギーであるにもかかわらず、なぜか複雑になってしまうのが人間同士の愛のような気がします。

例えば自己愛に関しても、私たちの多くは自分に対してもっとよくしてあげたい、自分はいい人生を生きる権利がある!と思いながらも、どこかでそれを否定したり、自分に無理させることを選んだりする傾向があります。「自分が我慢すればなんとかなる」とか、「どうせわたしなんて」「じぶんなんてまだまだ・・・」みたいな口癖、もしくはもっと酷い言葉を自分自身に投げかける日常が当たり前になっている人も珍しくないと思います。

そして人間関係においては、愛を与えるからには相手にも同じ量(またはもっと!)返して欲しいと願っていたり愛に条件をつけたり。ときには押し付けたり押し付けられたりのドラマにうんざりして愛に恐怖心やめんどくさい感情を抱いたり。または、愛しているから我慢できるまたは我慢してねとか、愛しているから許せるとか許せないとか・・・・。

愛って本当はとても純粋でシンプルであってもいいのに、なぜこんな複雑になってしまうのか。例えば、美しい花を見つけたときに、立ち止まって匂いを嗅いだり心洗われるような感覚を感じる、あの、美しいものを愛でる気持ち。これがまさしく書いて字のごとく愛のエネルギーで、ただ単純に美しいものを愛でて感謝して、それでいいのにと思います。でも美しいものや自分を喜ばせてくれるものはそばに置いておきたいし守りたいし・・・と欲望や期待が膨らんでくるのが人間の心。つまり「エゴ」が愛を複雑にしてしまう理由なわけですが、死を目前にして身体が弱ってくるとどうやらエゴの力も弱ってくるようで、やがてはエゴ抜きで自分のことを振り返ることができる瞬間がやってきて、そのときに愛についてまっすぐに思いを巡らせることができる時間がやってくるようです。(エゴついては、エックハルト・トール氏のニューアースという著書に、とっても詳しくわかりやすく書いてあります)

でも、それを待たなくてもいいんじゃないの?というのがメッセージ。

Frankさんのようにホスピス施設など死の準備をしている人々のベッドに寄り添ってお話をしたり聞いたりするお仕事やボランティア活動をされている方たちがよくお話してくださるトピックの中に、「死を意識したときに人は生きることの本当の意味が分かる」というのがあります。

ゴールが目の前に見えたとき、自分がどんな風にここまでやってきたかなと振り返る時、それまで経験したどんな瞬間も永遠ではなかったということに気づかされるのだと思います。辛い経験も、楽しい経験も全てが永遠ではないわけで。

そして、これまで経験してきた出来事のその瞬間瞬間をどれだけ大切にできたか、愛するチャンスがあったときに思いきり愛することができたか、そして愛を受け入れて愛されたことに感謝できたか、などの思い出や経験が最後に自分を芯から満たしてくれる材料となるようです。

誰にでもやってくる死。死を考えることを待つのをやめて、死について思いを巡らせたり、準備したり(年齢に関係なく)することで、生きる意味を改めて考えたりするきっかけにもなるので、やはりDon’t wait だなあと感じました。

私自身も、これからの人生で自分はどんな風に愛を表現して生きていきたいかな?そんな風に改めて考えさせられました。自分自身を愛することも自分のエゴに気づくこともまだまだ全然足りていないと改めて感じます。

ちなみにFrankさんは数年前セミナーをしている最中に心臓発作で倒れて、とても大きな手術をされたそうです。回復に何ヶ月もかかり、しかもその後もう一度心臓発作を経験されたそうで、その一連の経験について「死についてはすごくよく知っているつもりでいたけれど、いつもの自分とは逆側(ベッド側)になるのは、想像以上に大変だった。」と、正直に語っていらっしゃいました。2度の心臓発作を経て、そして今でもまた起きるかもしれない不安にかられながら感じていることは「Trust信頼すること」だと話していたのが印象的でした。。自分以上に大きな力が働いていること(運命など)を信じること。プロセスを信じること。

最後に、Wisdom 2.0のカンファレンスでは、中国人資産家Bo Shao氏(ハーバード卒業後に設立した会社を29歳で売却し、ビリオネアになった)が、マインドフルネスと企業活動をテーマにスピーチしていたのですが(現在は企業に投資したりする財団を持っているようです)、自分は成功して中国でも指折りのお金持ちになったけれども、ずっと不安でいっぱいだったと語り、その後長い心・スピリチュアルの旅路を経て、結局は自分自身を愛することに努力をすること、それが何よりも意味のあることでセルフレス(自分勝手ではないこと)なのだと気づいた、と話していたのが印象的でした。

自分を愛することを努力することが最もセルフレスな行為。

カンファレンスでたくさんのインスピレーションをもらえた週末でした。

#マインドフルネス #心のエステ

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