
先日、スーパーマーケットでハロウィーングッズが販売され始めたのを見て、季節の変わり目をズシンと感じ、ちょっと切なくなりました。この調子であっという間に年末がやってきそう。
猛スピードで日々が過ぎていくように感じる毎日。私自身も含めて、ルーティン化された毎日を送ってしまいがちな人にとって、自分自身にチェックインして「どれくらい疲れやストレスが溜まってきているか」を確認することは後回しになりがちです。走れるだけ走って、息が切れそうになるまでとりあえず進む。勤勉と言われる私たち日本人(それが世界的に見ても驚くほど当たり前の常識として身についていると言われている)にはとてもありがちな生き方です。
それは世間的にみて忙しい日々を送っている人だけではなく、たとえゆっくりペースで日常を送っている人でも同じこと。疲れやストレスは確実に溜まっていきます。人は生きているだけでも疲れてしまうのです。そして疲れは、肉体的な疲労よりも、心の方から発生するものの方が重く感じられるようです。心の疲労からくる疲れは、肉体で感じる疲労にも影響を与えます。
たとえば、気のおけないメンバーたちとお出かけ。1日の終わりに感じるのは、心地よい肉体疲労。おしゃべりや一緒に笑った時間を思い出して、和やかな気持ちで眠りにつくことができます。でも、それが気を使い合う人たちとのお出かけだった場合。空気を読みながら、相手のペースに合わせて気を使いながら過ごした1日の終わりには、精神的な疲れだけでなく、肉体疲労もより重く感じられます。「ああ疲れた・・・。」決して悪い1日でなかったのにも関わらず、気づかいをして溜まった感情的な疲れは私たちをグッタリさせます。心の疲労は思いのほか強力です。
心の疲れ
心の疲れはたとえどこにも出かけていなくても、何かとくべつなことをしたわけでなくても、その人自身がいろんなことを考えて感じている以上、当然のように溜まってくるものです。何も対策を取らなければ、疲れとストレスでいっぱいになっています。
心と体が燃え尽きてしまう前にできること。それはまず、日頃から疲れとストレスを緩和させる対策をリストアップしておくことです。イライラしはじめて、ネガティブ思考になりがちになり、引きこもり願望が強くなってくる頃まで引っ張り、いよいよ必要に迫られてから対策を練るのではなく、日常的に自分の状態をチェックして、疲れとストレスが溜まりすぎなうちにこまめにできることを実践していきます。誰かとの約束や予定、仕事のスケジュールをカレンダーに入れるように、ストレス緩和対策もセルフケアと書いてカレンダーに入れて予定を組みます。
たとえこんな感じのリスト。
毎日10分間メディテーションすること。そしてときどき長いメディテーションの時間(20分~40分)をとること。
運動すること。
自然の中で過ごすこと。
質の高い睡眠をとること。
栄養が足りてるかチェック。サプリメントやクリーンな食事で整える。
長風呂の時間を持つこと。自宅のお風呂や温泉など。
お休みの日にお昼寝すること。
大笑いできるような場所に出かけたり、何かを見たり読んだりすること。
気のおけない友人や家族と会うこと。
遠出して、知らない街に出かけてみること。
ライブやコンサートに出かけて音楽を感じること。
海を見に行くこと。ビーチを散歩すること。
写真の整理をすること。楽しい時間を思い出しながら、アルバムやスクラップブックを作る時間。
どこにもいかない日、何もしない日を作ること。
つらつらと日記をつける日を持つこと。
Todoリストの中に入れておき、スケジュールを調節しながらできることを日常的にやっていきます。
なぜ長めのお休みも必要なのか
そして、年に1、2回は長めのお休みをとり、誰かのペースに振り回されない、慌ただしくない旅をして、ゆっくりできる時間を持ちます。私個人も、これは家族の都合や仕事やいろいろなことでなかなか実現させるのが大変ですが、実際に1週間から10日間ほどお休みを作って旅が出来た時、帰って来て自分自身が「ストレスフリー」に近い状態になっていることに気がつきます。
大切なのは日常を離れること。戻ってくると仕事も以前よりずっと集中でき、そして自分にも周りにも優しくなれます。クリエイティブな発想も自然と湧いてくるので、私生活も仕事も断然効率がよくなります。身体の免疫力も上がるので、健康にもいいですよね。長めお休みをとって旅をすることは、いいことづくしだと思います。フランス人はヴァカンスのために働いている、そのために節約するという話を聞くことがありますが、それはとても理にかなっていることだと感じます。
お休みの最初の3、4日間は、メンタル的に日常から離れることが難しく、旅をしながらもどっぷりお休みを満喫することができない傾向があります。人によって差があるかもしれませんが、意識がしっかりとお休みのモードに入ることができるのは、5日目以降ではないでしょうか。ルーティン化された生活パターンに慣れている意識がお休みを満喫するモードに切り替わるまでには、やはりどうしても少し時間が必要です。
ストレスフリーまたはそれに近い感覚になると、どうなるのか?
いい意味で「こだわり」を手放すことができるようになるようです。心の疲れの主な原因は「自分らしくいられないこと」からやってきます、無理をして環境や周りの人たちに合わせすぎることは、自分らしさを曖昧にすること。心は自分らしくいられる時に高いレベルの幸せを感じますので、逆に自分らしくいられない時期が続くと、その不満をエゴが主張し始めます。
エゴの主張の仕方は、たとえば美味しいものを食べて自分を喜ばせたいとか、買い物をして気持ちを満たしたいとか、ちょっと特別な体験をして優越感や特別感を感じたいという形で現れます。
自分を甘やかせてくれる人がいる場合は、とことんその相手に要求しますし、それ以外の人を「外部の人間」と判断して、「自分を疲れさせる人たち」とみなし、自分を守ろうとしたりもします。
甘えさせてくれる相手がパートナーである場合は、相手に求めすぎてしまうかもしれません。相手が友人や家族の誰かである場合は、相手への執着が強くなり、近すぎる関係を強要しまうこともあります。
自分を少しでも楽にしてくれる環境や関係を作って「自分らしさ」を回復させようとするので、やたらといろんなことに「こだわり」を持ってしまうことになります。ライフスタイルから人間関係から、さまざまな分野で自分の「我」を通させてくれる状況を、できる範囲で作ろうとします。
一方で、ストレスフリーまたはそれに近い状況では、自分らしさを安定して感じているため、周りや環境に要求せずとも自分自身に対してゆったりと接することができます。
栄養補給のために自分自身に「与えること」へのこだわりから解放され、外側に向かって無理せずに与えることができます。自然とギブアンドテイクの関係を持てるようになります。
あれを食べたい、これを買いたい、特別感を感じたい、という欲求からも解放されて、次にストレスがまた溜まってくるまでの間、ありのままの状態に感謝して満たされる気持ちを体験できます。自分の未来をポジティブに描くことができ、あるのままの自分をこれでいいのだと受け止め、過去と現在に感謝することができます。
一度リセットして、できるだけその状態を維持する
ストレスフリーに近い状態に自分を持ってゆくことができたら、それを「1度リセットした」とみなして、その後できる限り小まめにメンテナンスをします。自分の状態を観察して、どれくらいの頻度でセルフケアの時間が必要なのか、そして今後いつ長めのお休みを取ることができるのかを考え、スケジュールに入れていきます。
自分らしさを曖昧にして、エゴがうるさくなるのをできるかぎり避けること。エゴに圧倒されるのを避けること。一度燃え尽きてしまうと、再び元気を取り戻すために時間がかかってしまいます。予防することで、大変な状態を避けることができます。
余談ですが、時には、人生を大きく切り替えるために燃え尽きることも必要な時もあります。これを ニューヨークのウェルネスリトリート、Omega Institute (オメガ・インスティチュート)の創始者、エリザベス・レッサーは「Broken Open」と呼んでいます。壊れて、開く。花の蕾は、蕾のままでは咲くことはできません。Broken Openには、一度壊れてしまったことによって、新たな可能性が花開いてくるという意味があります。でも、これはものすごく大変なことで、エネルギーを費やします。キツすぎる経験は後のトラウマになることもありますので、できれば日常的に自分をケアして燃え尽きないように自己管理していきたいものです。安定した心と体に宿る直感に導かれることで、Broken Openにまで自分を追い詰めなくとも自然に新たな可能性へと向かっていけるようになることが理想です。
年末年始まで忙しくなってくるこの時期。セルフケアにはより一層力を入れて、健康に過ごしていきたいと思います。