
先日、偶然耳にした曲の歌詞の一部が心に残りました。こんなフレーズです。
”I’ve seen and met angels wearing the disguise
Of ordinary people leading ordinary lives”
”私は、普通の人に変装してごく普通の暮らしをしている
天使たちを目撃したり、会ったりしたことがある”
調べたらTracy Chapman の Heaven’s here on earth という曲でした。心に残った理由は、「あるある。私も普通っぽい天使に会ったことがある。」と思ったから。
それは何かすごい人助けをしている人とかではなく、もしくは自分を犠牲にして他人に尽くすとかそういうことでもなく、たとえば、後ろの歩行者のために親切にドアを開けて待っている人とか、たまにしかこないお客さんの名前を覚えていて満面の笑みで挨拶をする店員さんとか、お年寄りにためらわずに手を貸してあげる若者とか、子供が怖がらないように歌いながら注射するナースとか、公共バスなのにツアーガイド的情報を含めてアナウンスする運転手とか、面白いイタズラを準備してその場にいる人たちを笑わせてくれる人とか、そういう普通の日常の中に天使はいるものだと思います。
その人の全部が天使かどうかというよりも、その瞬間に表現された親切や優しさ、そしてルンルンしているエネルギーの中に、天使のようなものが潜んでいると感じます。
人間という体の中に暮らしている限り、私たちは体調の悪い日もあるし、どうしたって笑顔になれず、ルンルンした気分とは程遠い日もあります。でも、そんな中に天使のようになれる日もある。周りの人たちを明るくするエネルギーを放っている人は、それがたとえその瞬間だけだったとしても、天使みたいなもの。そして、そんな瞬間に出会ったり、または目撃したりすると、「ラッキー♪」と、自分の小さな運のよさに感謝します。
作家・エッセイストの、Annie Dillard のこの言葉もとても好きです。
“How we spend our days is, of course, how we spend our lives.”
”当たり前のことだけど、私たちが毎日をどう過ごすかは、私たちが人生をどう過ごすかということ。”
とても疲れているとき、自分を取り囲んでいる本来は感謝すべきことに対して、イライラ、モヤモヤを感じて、落ち込むことがあります。シンプルなことを複雑に考えすぎたり、事実をひねって受け止めたり、自分が何かの被害者のように感じたり。
でもそんな時でも、自分がどうありたいかに立ち返って、きちんと自分自身に問いかけてみる余裕が持てる人になりたいと心から思います。なかなか簡単にはできませんが。
毎日のことや日常の時間が、「私」という人間を作っているのだということ。
日々の小さな決断や心がけが、人生を形づくってゆくものだということ。
出会う人たちとの交流や、出かけて行く場所で見た風景が、自分の世界に色を与えてくれているのだということ。
今日もこのささやかな日常に感謝して、きちんと味わって過ごしていきたいと、背筋を伸ばさせてくれる言葉です。